「バブルでやってきたドットコム、いとも素早く去った」
アメリカの景気が悪いことは、私の周りにどっと失業者が増えたことでよく分かる。近所に住むクーパー家のお父さんが先月、クビを切られた。コンピューターソフトのエンジニアとして、妻と2人の子供を連れニューヨークから昨年引っ越してきたばかりだった。いつも冗談を飛ばす彼が、先日ばったり道で会うと、すっかり白髪になり無精ひげで会釈さえしてくれない。
私が以前勤めていたインターネット関連のマーケティング会社のある部門が、先日整理された。一緒に働いたクリスティーナに聞くと、会社は勤続年数1年間につき1ヶ月分の給与を支給するらしいが、彼女が働いていたのは9ヶ月弱とわずか。私はやることがなくなりつまらなくて気軽にやめたのだが、彼女は、家のローンと赤ちゃんを抱えている。電話の声も沈みがちだった。
*この続きは書籍『イースト・コースト インターネット暮らし』(新風舎)でお楽しみください。
(時事通信社 世界週報 2001年8月7日)